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他人の遠回りは自分の近道 ‐卒業生ブログ‐

千歳台事業所

2017.07.27

はじめまして、訓練生の蓮子と申します。この度就労が決まりましたので、初めてさらぽれブログを書かせて頂くことになりました。
私はさらぽれに来て1年と8カ月で卒業と相成りました。早いと思いますか?遅いと思いますか?
人によって感じ方は様々かと思いますが、少なくとも私にとってはこれがベストな期間だったと自信をもって言えます。

 

私はさらぽれにきて心から良かったと思えることが沢山あります。次に挙げる二点は特に良かったことです。
ひとつは「障害を含めて自分を好きになれた」こと。もう一つは「自分が何者なのかが分かった」ことです。
さらぽれでは色んな面で成長の機会を得られます。働くためのスキルを一番に挙げる人もいるでしょう。
でも私は就労に本当に必要なことって初期スキルが高いとか経験や資格があるとか、そういう単純な表面の能力だけではないと感じました。
さらぽれは単純な能力を磨くだけの場所ではありません。正確な自己分析と試行錯誤の機会が得られる場所でもあります。
障害の有無に関わらず、就職活動の際は誰しも自己分析をしますよね。
障害があることで他の人より多く考えることもあると思います。今の私はそれをとっても幸福なことだと思っています。
なぜならば自分という人間について一つでも多く、ハッキリとした形で理解できる機会を得ているからです。

 

何事に対しても人にはそれぞれ自分に合った最善の選択があります。その選択には必ず根拠があります。その根拠は正しい自己理解から生まれます。
よく考えずにがむしゃらに努力しても、上手くいっている誰かの表面だけを真似しても上手くいくとは限りません。
それは障害のことも含めて、自分の特性や性格などに合った方法かどうかを考慮していないからです。

 

ペンギンは陸よりも海の方が早く移動できるし、蓮の花は綺麗な水より汚れた水の方が美しく丈夫に咲きます。
大多数が陸の方がゴールに近いよと言って走り出しても、綺麗な水の方が体に良いよと言っても、それはあくまで彼らにとっての正解や最善です。
距離は遠いけど海の方が早くゴールに辿りつく子も、汚れた水の方が強く美しく成長する子もいるのです。

障害も同じだと思います。
障害があることで劣っているとか不運だとか、極端にネガティブなものは決してありません。
ただ世の中の大多数である健常者用の方法が通用しないこともあるだけです。それで誤解されたり不便に感じる場面があるだけのことだと思っています。

 

「なーんだ!みんなと同じ陸上生物だと思ってたけど、わたし実はペンギンだったわー」
自分がペンギンだと気づかないまま陸で頑張ってもなかなか上手くいかないでしょう。
でもペンギンの自覚をもって海で頑張ればみんなと同じかそれ以上の力が出せることだってあります。
周りもペンギンだと分かれば陸路ばかりを強制しません。寧ろ海路の方が活躍できると分かれば喜んで泳がせます。
自分が何者かを理解することはそのためにあると思ってしまっても良いのではないでしょうか。
健常者にしても障害者にしても、本当に良い就労は能力のベースとなる自分を理解し、認めることで生まれるのだと思います。
ただ就労するだけなら卒業後の新卒採用で良かった。期間だけみればそれが世の中の平均で近道でしょう。
障害があると分かった。今のまま就労するのは長い目で見るとつまずくことが多そうだと不安に思った。
さらぽれに入った。働くためのスキルを多く身につけた。時間をかけて自分の障害や人となりが見えてきた。

 

1年と8カ月はやっぱり長いです。随分苦労したとか遠回りとか思う人も沢山いるでしょう。
人生は一度切りなので、仮に新卒採用された場合のifの自分と比べることはできません。
でも私はさらぽれで訓練して、今採用された自分が自分にとってのベストな道だと胸を張って言えます。

 

それでは長々とお付き合いありがとうございました。
さらぽれ職員のみなさま、共に歩んだ訓練生のみなさん、その他の支援者への感謝を込めてこの記事をしめさせて頂きます。

 

※この記事のイラストはExcelの機能のみで作成しました!※