卒業にあたって
はじめまして。池袋事業所訓練生のYです。
このたび就労が決まり、さら就労塾を卒業することになりました。
現在の感想を書きたいと思います。
私は学生時代から人とコミュニケーションをとるのが苦手で、大学卒業後も社会に出ることに不安を覚え、就職せず、家にひきこもりがちな生活を送るようになりました。
部屋で本を読んだり、時々外出し、散歩したり、図書館や本屋に通ったりして過ごしていましたが、家族以外との社会的なかかわりは持ちませんでした。
そんな生活が15年以上続き、しだいに焦りを感じてきました。
今から5年ほど前に初めて相談機関を訪れ、将来について考えるようになりました。
精神科を受診し、当事者会や自助会にも参加するようになりました。
そこで知り合った人に勧められて、ボランティア活動をしてみたり、少しずつ人や社会に慣れていきました。
そして、そろそろ働いてみたいと思ったときに、就労移行支援事業所の利用を考えました。いくつかの事業所を見学したのですが、自助会で知り合った方の紹介もあり、さら就労塾の利用を決めました。
さら就労塾には2年間通いました。PC訓練・事務訓練を中心に行ってきました。WordもExcelも使ったことのない私でしたが、一通りの操作が出来るようになりました。
就職活動の時期に入り、私は障害者雇用で就職することにしました。本を読んだり蒐集することが好きなので、本や出版に関わる職種に就きたいと漠然と思っていました。
けれどなかなか求めるような仕事は見つかりません。それで幅広く一般事務・事務補助の職種を視野に入れ、応募書類を作りました。しかし何社も提出しましたが、書類選考の段階でみな落ちてしまいました。
私の履歴書には、長い空白期間があります。それはどうしようもありません。
ハローワークや東京しごと財団主催の面接会では、自分の口から履歴書の空白期間について説明ができます。それを積極的に利用しようと思いました。
直近の面接会に一社申し込んでいたのですが、調べてみると当初から私の求めている職種の会社もその面接会に参加していることがわかり、さっそくもう一社申し込みました。面接では、持参した履歴書や自己紹介書を面接官に読んでもらい、質問を受けました。そこで私はこれまでの経緯やボランティア活動の経験、さら就労塾での訓練内容について話しました。訓練の結果、これだけ回復しているとアピールしました。特に第一志望の会社に関しては、その仕事に対する熱意も語りました。
その結果二社とも内定をもらうことが出来ました。
私には社会経験がほとんどなく、人と関わることを避けていた期間も長かったので、さら就労塾に入所する前から、積極的に自助会や当事者会に参加してコミュニケーションの訓練をしてきました。人前に出たり、会話をすることには慣れたつもりでしたが、さら就労塾は職場のような形式で訓練を行うので、職員とのかしこまった挨拶や報連相をする機会が多く、それらは私にとって初めての経験でした。当初は緊張したり上手く言葉が出てこなかったりしましたが、だんだんと出来るようになりました。また電話応対の業務も担当し、コミュニケーションの訓練に力を入れました。
さら就労塾に入所するときの面談で、この年齢で職業経験もなくて就職できますかと訊きましたら、その職員の方は必ず就職できるといってくれました。就職活動にあたっては、さら就労塾の職員はもちろん、紹介されたハローワークの相談員の方にも、履歴書や自己紹介書の書き方、面接時の心構えについて有益なアドバイスをもらいました。特に私は職歴がないので、さら就労塾での訓練内容やボランティア経験を盛り込んだ自己紹介書は力を入れて作成しました。書類選考で落ちたときも、励まされました。面接に関してはまた、さら就労塾での面接練習や、週末に自助会や当事者会に積極的に参加して、そこで自分の経験について話す機会を多く得たことが、役に立ったと思います。
この記事を読んでおられる方の中で、私のように長年のブランク期間があるがこれから働いてみたいという方がいらしたら、簡単に諦めないほうがいいですよと言いたいです。適切な支援を受け、本人がある程度努力をすれば、道は開けると思います。