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仕事における「理解力」と「伝え方」の話

横浜事業所

2020.10.29

仕事における「理解力」と「伝え方」の話

 当就労塾への通所が始まってから、まもなく一年が経とうとしています。一年という長い月日を過ごすなかで起こった変化は、「指示理解」の深まりと、それを行うための「報連相」の強化にあります。今回は私における「指示理解」と「報連相」の強化について、ブログという場をお借りして少しお話させていただきます。
 
 以前からASDを発症している私にとって、人とのコミュニケーションで苦労することが頻繁にあります。仕事のなかで例を挙げると、業務の指示を十分に理解しているつもりでも、指示者の意図を十分に汲み取れていなかったり、解釈の度合いがズレてしまっていたりと、業務を遂行するうえで重要な指示理解の部分で致命的な問題が発生してしまいます。これを放置してしまうと、どれだけ努力を重ねても指示通り、または目的に沿った成果をあげることはできません。
 この問題を解消するには、指示の意図や目的を相手方と理解・解釈を一致させることが重要です。そのための訓練として、定常・非定常を問わず様々な業務にて、以下の取り組みを行うことにしています。
 
・報告をする
・連絡をする
・相談、質問をする
 
 一般的に、「報連相」と称される基本的な行動ですが、私にはこれが足りていないが故に、指示理解が不充分なのです。就職準備コースに移り、数か月間の訓練の様子をもとに職員と面談を行ってこの課題がみえてくるまでは、報連相ができないという自覚がありませんでした。その面談を通して個別支援計画を作り直し、「何を」「いつ」「どうやって」報連相を行うのか、という基本的なことを実践で学ぶところから始めることになりました。
 私にとって特に難題なのが「どうやって」伝えるか、です。自分の思考を言語化することに不慣れなので、伝えたいことが相手に伝わっていない、伝わりきれていないということが起こりがちです。それでも、ある程度の定型化をすることで(口頭ならば、「只今お時間よろしいでしょうか。」から入る。納期延長の相談や異常発生時は謝罪から始める等)、伝達項目の整理がしやすくなってきました。
 訓練が始まってすぐには、職場で必要とされる「報連相」が思うようにできない自分に劣等感に似た感情を抱く日々が続いていました。しかし、まだ完全ではありませんが、最近では業務の目的を再確認したり、業務の進行状況を報告したり、場合によってはどうしても期日に間に合う見込みがなく、納期の延長を相談したりするなど、場面に合わせた「報連相」が徐々にできるようになってきた実感があります。
 
 約一年前は、自分に足りない能力が何であるか、自覚すら持てていない状態にありました。現在は、職員からのフィードバックを記録するなどして、改善が必要な項目を可視化し意識して訓練に向き合うようにしています。また「指示理解」と「報連相」も、フィードバック記録を参考することで次回以降の実践で気を付けるべきことが分かり、改善への道のりが近くなったと感じています。
 私の一年での変化は、できて当たり前のことがようやくできるようになったという小さなものですが、仕事に必要不可欠なスキルを身につけることは、就職そして働き続けるための大きな一歩です。今回お話しした「指示理解」と「報連相」以外にもまだまだ課題が多く残っていますが、訓練を通して確実に改善し続けることで、就職を実現するよう努力を重ねていきます。