成長の記録
はじめに
下北沢事業所の訓練生Sです。
この度就労が決まり、さらぽれを卒業することになりました。そこで、私がさらぽれでやってきたことを、「記録」という点を中心に書いていこうと思います。
私はさらぽれに入所した当初、色々と困りごとがあったのですが、記録をつけることで困りごとを乗り越えていけたと考えています。
まず、私の障害や困っていたことについて説明します。
私の障害特性、困っていたこと
私の障害は広汎性発達障害です。
障害特性は以下のようなことです。
・抽象的な表現や、見通しが立たないことが苦手。逆に、具体的な課題や見通しが立つことなら手早く処理できる。
・計画を立てるのが苦手で、タスクを処理しきれない。
通所当初、困っていたことは以下のようなことです。
・生活リズムの乱れ
私がさらぽれに入所したのは、大学を卒業して1年半ほど経った頃です。その間特に日中通う場所がなかったので、昼夜逆転状態になっていました。また、昔から朝が苦手で、土日はいつも昼に起きていました。
・自分に自信がない
通所前に新卒での就活や大学院試験に失敗しており、自信をなくしていました。また、考え方に癖があり、自分が出来たことは当たり前、特に褒められるようなことではないと考えたり、出来なかったことは強く記憶に残ったりという傾向があります。
週報・体調管理表をつけてみて
さらぽれで私が毎日つけていた記録は主に2つあります。
一つは週報です。一日の目標や訓練内容、取り組みの結果を毎日書き、金曜日に一週間の振り返りを行います。
私はタスク管理が苦手という課題があったので、まずどんなタスクがあるのかを書き出すことから始めました。次に、日付の決まった予定や締め切りを週報の該当する日付に書き込むようにしました。すると、週報は毎日見るためか、タスクを忘れることが少なくなりました。また、金曜日に一週間やったことを見直してみると、「自分は結構色々なことをやり遂げたな、今週は充実していたな」と思うようになり、次第に自信がついてきました。
もう一つは体調管理表(K-STEPのセルフケアシート)です。就寝・起床時間やその日の調子、取り組んだことや感じたこと等を記入します。
最初、職員の方から体調管理表をつけてみようと言われた時、「このひどい睡眠リズムを具体的な数字として見なければならないのか、現実を見るのは嫌だなあ」と思いました。事実、最初の一ヶ月は就寝時間が午前の3時~5時という結果が出てやはり「ああ、これは良くないな」と感じました。それでも、毎日職員に結果を報告するという緊張感や、時間の良し悪しで評価するのではなく一月記録をつけられたということを評価して頂いたおかげで、その後一年間記録し続けられました。
記録を見直してみると、睡眠時間はその日にやったことや感じたことに関係があると分かってきました。大きなストレスがあった日や運動不足の日は、就寝時間が遅くなるという傾向が見えて、これが原因かと思いました。そこで、ストレス・運動不足解消のための取り組みを考えて、実行しました(例:好きな音楽を聴く、趣味のギター演奏をする、疲れたら無理せず休む、毎日ラジオ体操をする等)。すると、だんだん早く眠れる日が増えていき、今では安定して午前0時~1時頃に寝られるようになりました。
おわりに
このように、記録をつけるということは、私の心に非常に良い影響を与えたと思います。
記録をつける前は「出来なかった現実」を見るのが嫌でしたが、記録をつけ始めてからは「やり遂げたこと、成長したこと」が見えてきたのが意外でした。
また、記録をつけることを通して、当初あった「なんとなくできてない気がする、でもどうすれば良いか分からない」という漠然とした不安が、具体的に取り組める課題に変化したことも大きな発見でした。私の障害特性的にも、抽象的なことより具体的なことの方が得意なので、この変化は非常に良かったと思います。
さらぽれに通所して、就労が決まったことは勿論嬉しいですが、それ以上に生きるのが楽になったことが嬉しく思います。これからも、やってくる現実を過度に恐れることなく、一歩ずつ着実に進んでいきたいです。