旧ブログ

自分の特性に向き合うということ

下北沢事業所

2021.09.16

自分の特性に向き合うということ

本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、「自分の特性に向き合うこと」について、私の経験に即してお伝えしたいと思います。

突然ですが、学生の頃を思い出して下さい。こんなやりとり、なかったでしょうか。

 

cat

例1.「私ちょっと太っちゃった、やだー」

「えっそんなことないよ、全然可愛い!全然大丈夫!」

 

例2.「夏休みの宿題、もう徹夜で8/31に終わらせたよー」

「そうそう、ぎりぎりでなんとかなったよね!」

 

他愛もない会話です。

でも、これを読んで、複雑な気持ちを思い出す方はいませんでしょうか。

私がそうでした。私は、この会話に混ざれないのです。こんな具合に。

 

例1→「私ちょっと太っちゃった」発言に対して、

なぜ詳細も確認せずに「そんなことない」と断言するのか?

「太っちゃった」と本人が問題にしているのに「そんなことない」と否定し、

問題にしなくて良いのか?…と私一人が考え込んでいるうちに、「太っちゃったー」

「そんなことないすごく可愛いー」「あなたも可愛いー」「でさ、全然関係ない次の話題」という、

そうした一連のお作法が流れすぎていくのを、ただ眺めていました。

 

例2→私は夏休みの宿題を「ぎりぎりでなんとか」はなりませんでしたし、

宿題の提出自体も、しばしばできませんでした。

これは大学生になってまでも、続きました…

また、それに加えておしゃべりが止まらず(つい先日も他人から注意をされてしまいました)、

忘れ物と遅刻も止まらず、高校の時は担任に「あなたは遅刻の女王です」と宣言されました。

 

このようなつまずきや、やらかしが、発達障害の特性によるものだと確信するまでに、

私はだいぶ長い時間を使ってしまいました。

 

私は「変わってる」「面白い」「おかしい」「やっぱりB型だよねー」と言われ続けてきました。

ちなみに後から分かったことなのですが、私はAB型です。

そして、発達障害のテストを受けたのは、うつ状態と診断されてから実に5年も後のことでした。

子供のころからやらかし続けていたけれど、「発達障害」だと初めて認められたのは、

30歳を過ぎてからだったのです。

主治医に自分でテストを受けると申し出なければ、「発達障害」であるという確信は持てず、

ずっとうつ病患者として暮らしていたわけです。

こういう「精神疾患に埋もれている発達障害」的なケースは、どうやら稀ではないようです。

 

私はさらぽれに入所してからは、そういった特性によるやらかしに対して、工夫の仕方を考え、

職員さんと確認しあい、以下に挙げたような改善方法を試していきました。

 

・朝礼で話す内容はメモ書きをしておき、話すことが飛んでしまわないように、ただ読み上げる。

・机には文字の大きい時計を置いて、時間の確認がすぐにできるようにする。

・付箋にさらぽれのタイムスケジュールを書いて、目の前に貼る。

B5のホワイトボード、付箋を用意して、すぐに考えたこと、言われたことなどを視覚化する。

・スマホのリマインド機能も活用し、服薬のし忘れ、予定を飛ばさないようにする。

などなど。自分の特性に対して、ひとつずつ向き合うことにしたのです。

 

「向き合ったらなんでも上手くいった!」というわけではありません。

ですが、さらぽれで様々な工夫をしつつ、タスクやプロジェクトをこなしていくうちに、

私は自己評価をむやみに下げ続ける行為が抑えられてきたことに気が付きました。

他人からの良い評価を、素直に受け入れられる自分にも気が付きました。

 

すると、どうなったでしょうか。

→前職までの欠勤の多さ、シフトの少なさが打って変わったように通所率が上がった

→薬効もあるかもしれないが、うつ状態からも抜けつつある

 

これは、私の病んでいた人生からすると、相当劇的な変化でした。

 

「なんだか分からないけど自分はやらかす」というような認識で、

自己評価が著しく低いと、意欲が下がります。仕事の意欲も下がります。

仕事を工夫、改善しようという意欲も、毎日きちんと通勤しようとする意欲すらも。

普通の生活をしようとする意欲も、下がり続けます。具合の悪い日が続きます。

うつ状態がそうして続くと、生き続ける意欲すらも低くなってしまいます。

私と同じような過程を経て、様々な意欲が低くなってしまった方もいるのではないでしょうか… 

 

そういった方には、「通院だけでなく、自己肯定感を上げられる居場所を探してみる」 

ということを強くお勧めしたいです。 

客観的に自分を評価する、自分を見つめるという作業は、 

強固な「自分はダメ人間だ」バイアスをかけがちな私たちにとっては、一人では難しい作業です。 

一緒に見つめてくれる、一緒にその作業を促してくれる場所で、 

「自分を客観視する」「自分の特性を見つめる」ということにしっかり向き合ってみてください。 

実は割とダメではない自分に、必ず気付けます。 

そこから、消えそうだった人生の道の続きが見えていきます。 

 

私はまだ就労先が見つかっていません。なので、必ず就労できるのかどうかも定かではありません。

でも、さらぽれでの学びは、私の人生の転機のきっかけになっていくことでしょう。

 

さらぽれは、就労支援の施設です。個人の精神疾患を癒す場所ではありません。

ですが、就労活動を通して、「自分を見つめる」という作業は必ず発生します。

その作業をしていく過程で、

「自分にダメ出しをし続け、死ぬか生きるかの堂々巡りをする毎日からは抜け出せる可能性がある」

ということを知ってほしいのです。

もしも、もしもですが、それで仕事先までうまく決まったら、とんでもなくラッキーだと思いませんか?

 

休息は必要です。でも、小さな前進をし続ける勇気を、どうか失わないで下さい。

何かをすると、何かが起きるんです。それは悪いこともありますが、良いこともきちんとあります。

 

本ブログを読んでらっしゃる当事者の方に。

どうか私の文章が、小さな前進への一助となりますように。