失敗は悪いことなのか
さらぽれの利用者さんとの面談をしていると、「もう同じ失敗はしたくない」「失敗は避けたい」と聞くことがよくあります。そりゃそうですよね、誰しもすき好んで失敗はしたくないですよね。私だってそうです。でも、世の中には「失敗することこそが大切」「失敗したことがない人間に大事な仕事は任せられない」という人もいます。本人はもうこりごり、と思っている経験を高く評価するって、これってどういうこと?
私たちは、失敗=悪いこと、避けるべきこと、と無条件に考える傾向にあります。でも、別の方は失敗を悪いこととは考えていないようです。なぜ、このような違いがあるのでしょうか。
そもそも、皆さんがよく言葉にして言う「失敗」は、本当に「失敗」なのでしょうか。
失敗なんて誰が決めたんだ?
皆さんが「失敗」と捉えていること、それらは全てが「失敗」なのでしょうか?
実際には、「予想していた通りにならなかった」ことを「失敗」という言葉で表現していないでしょうか。
だとすれば、その時には予想とは異なり思ったような結果が得られなかったとしても、その後リカバリーして立て直したり、あるいはリカバリーはできなかったとしても後日その経験を他の事例で生かすことができれば、それは「後の成功に向けた1ステップ」だったといえるでしょう。
何もしなかったとしても、それはその時点では「うまく行かなかった1事例」にしかすぎない。その1事例をどう“解釈したか”で「失敗」と「成功」が分かれるのではないでしょうか。
失敗かどうかを最終的に決めるのは自分
ある事柄を回りの人が見て「失敗した」と言ったとしましょう。でも、それもそう話した人の主観にすぎません。他人がその事柄をどう受け取ろうとも、当人がそう考えなければそれは「失敗」とは決めつけられません。成功への途上、当人にとって必要な1ステップである可能性があります。その評価が決まるのは、もっともっと先のことなのかもしれません。
物事が思い通りに進まなかったからと言って、短絡的にマイナスに考えないで、捉え方を見直してみてはいかがでしょうか。
最後に私から一言
なお、このコラムにおいて上記内容に対して一つ私から追加しておきたいことがあります。それは、「うまくいかなかった」「失敗」という言葉は口にしないようにしてはどうか、ということです。
このコラムの冒頭でも触れましたが、「失敗」という言葉には、一般的にはどうしてもマイナスの印象が染みついています。ですので、その言葉を使うことで自分に対して無意識にマイナスの影響を与えてしまっているような気がするのです。「言霊(ことだま)」という言葉もあるように、言葉というものには影響力があります。ですから、口から発する言葉は慎重に選んだ方がいいのでは、ということを感じました。
じゃあどんな表現がいいのだろう? 具体的には、「思ったのと違った結果になりました」「期待(想定)していた結果とは異なりました」がいいのかなと思っています。これなら事実を客観的に表現したものなので良し悪しのニュアンスは薄く、「なので次はこうしたい」という前向きな対策も出てきやすい、ような気もしますので。