障害者雇用で働くための自己分析
先日、ある面接会に参加した方が、企業の採用担当者に「採用するにあたり一番重視することは何ですか」と聞きました。
すると先方からは「弊社では『ご自身の障害特性を理解し、それを一緒に仕事をする方へきちんと説明して理解を得ることができる』ということを重視しています。」という回答が返ってきました。
このことから、ご自身の障害特性を理解し、必要な配慮を分析、整理しておくことが必要であることがわかります。
そこで、行うのが自己分析です。自己分析の方法は様々ですが、その分析により何を導き出したいのか目的を明確にして頂きたいです。
なぜならば、目的が定まっていない分析をしてしまうと、途中で方向性がズレていたり、結果が満足に得られなかったりする可能性が高いからです。
目的にもいくつか種類があり、例えば自分の強み・弱みを把握したいであるとか、もしくは、自分にとって働きやすい環境ややりたい仕事とは何か知りたいであるとか、または自分の配慮事項を整理したいなどがあります。
目的よって細かいやり方は若干異なってきますが基本形は、ほぼ同じです。
その基本形となるのが、「列挙」と「掘り下げ」です。この手法はロジカルシンキングを行う際に有効です。
・列挙
ある事象について考えられる原因を箇条書きで洗い出していきます。
・掘り下げ
列挙で洗い出した要素をさらに分析します。その際にはなぜなぜ分析が有効です。
では、「列挙」と「掘り下げ」について事例をもとに説明していきたいと思います。
例えば、自分の苦手なこととしてマルチタスクを挙げていたとします。
まず、マルチタスクが苦手な原因を列挙してみましょう。
・優先順位の判断が苦手。
・スケジュール管理が苦手。
・自分の仕事に自信が持てない。
次に掘り下げをしていきましょう。
①優先順位の判断が苦手。
→②複数の人から指示されてしまうとどれを優先すればよいのか迷ってしまう。
→③指示担当者が忙しそうにしていると相談しにくい。
→④自分から報・連・相することが苦手。
如何でしょうか?こうして分析していくと「マルチタスクが苦手」なだけではなく、「報・連・相が苦手」なのだという新たな情報を知ることができました。
すると、一緒に仕事をする方への説明として「マルチタスクが苦手なので、シングルタスクで指示を頂く」だけでなく、「報・連・相が苦手なので、定期的に報・連・相をする時間を設けて頂く」ということもお伝えすることができます。
このように、ご自身が苦手と思っていることを分析することで、さらに自己理解を深めることができるかもしれません。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と言いますが、まさに自己分析は「己を知る」良い機会となるではないでしょうか。