旧コラム

就活の入り口って、どこにあるの?

池袋事業所

2015.11.18

就活生や企業は何に困っているか?

日経新聞の夕刊に週1回、「就活のリアル」という題名のコラムが掲載されています。新卒として就職活動している現役学生の就活事情をまとめたものなのですが、そこでとりあげられる悩みや質問にはさらぽれにおける就活と変わらないものがあるなぁ、と感じています。それゆえ、そこに書かれているアドバイスにも、さらぽれにおける就活に大いに役立つものが多くあると感じています。

つい先日の記事にも、いま私たちが訓練で感じていることと同じようなことが書かれていました。それは、就活生の生活経験の少なさ、です。そのコラムでは、

  • FAX送信を頼んだら何回も送信エラーを出していた。見てみると市内局番からしかダイヤルしていなかったので「市外局番から入れてる?」と尋ねると「市外局番ってなんですか?」と言われてしまった。
  • 来客にお茶出しを頼んだら、家で急須を使ってお茶を入れたことがないため加減がわからず、湯呑茶碗のすり切りいっぱいまでお茶を注ぎ、運ぶのに難儀していた。

という事例が紹介されていました。そういえば我が家の息子(高校生)も手紙を出そうとして切手を貼る位置を知らなかったことがつい最近発覚し、もしこのまま就職したら同じようなことが起こるんだ、つくづく他人事ではないと感じました。確かに年賀状では切手を貼る場面なんてなかったもんなぁ~。

 

働くためには何が必要?

企業で働く、採用してもらうためには、学校や訓練所に通って難しいことを学んだり、厳しい訓練を受ける必要があるのではないか、と考えている方もおられるでしょう。

でも、そうではないんです。難しいことを学ぶ、厳しい訓練を受ける、というのは、就労に向けた活動の仕上げの段階。その前に、普段の生活の中に就労に向けた準備になっていることが、数多く存在します。

 

例えば、近くのお店にお使いに行って物を頼まれたものを買ってくる、ということ一つを見ても、これができるということは、

  • 一人で外出し、(地図を見て)目的地にたどり着ける
  • 多くの商品の中から該当する品物がどれなのか選ぶ(判断する)ことができる
  • お金を数えて金額を把握することができる

というスキルを身に付けていることになります。逆に言えば、お使いに出すことで上記のスキルを鍛えることができるのです。

また、この過程で、

  • わからなかったり困ったりした時には、お店の人に相談する

ということができていれば、

  • 問題に遭遇した時に、自分から助けを求めることができる

というスキルが身に付いていることがわかります。

 

日々の生活における経験がそのまま就活に向けた訓練

普段の生活の中に、仕事の場面でも必要とされる行動はたくさん含まれているのです。

それを自分の力で行うことが、なにより就労に向けた訓練になるのです。

 

初めから「この子は障害があるから」「この子には無理だから」とあきらめてしまわずに、ものは試し、というスタンスで様々なことに取り組んでみる。より充実した社会生活のことも考えて、皆さんにはいろいろなことに挑戦して頂きたいし、またご家族や関係者の方々にもご本人が様々なことへ挑戦することを後押しして頂きたいと思います。

 

就労への第1歩は、日々の生活の中から始まる。小さなことでかまいません。勇気を出して第1歩を踏み出していただけることを願っています。