教えて!對馬さん

メモを管理できません

2024.11.28

お困りごと

メモ帳をすぐに忘れたり、失くしたりします。その都度新しいのに買い替えて何冊買ったかわからないくらいです。記憶に自信がないのでメモは欠かせません。カバン、机やジャケットなど思いつく限りの場所にメモ帳を忍ばせています。

そこまでしても、うまくいっているわけではなく・・・先月、問い合わせがあったお客様の連絡先が、メモしたのは確実なのにどのメモ帳をめくっても見つかりません。こちらからご連絡しますと言ったので待っているだろうし・・・連絡しなかったら会社の信用にも関わってしまう。何でいつもこうなってしまうんだろう・・・。

メモを管理できません

解決のヒント

■原因~ADHDの不注意特性など~
仕事は毎日新しい情報との格闘で、よほどの記憶力に自信がある人を除いて、メモは情報ツールとして必須です。だからこそ、いつでもメモを常備していて後で自由に見返せることは大事ですね。
ご相談者はメモが必須だからこそ、あちこちにメモ帳を忍ばせるという工夫をされている。一方で複数のメモ帳があるためにどこに書いたかわからなくなったり、紛失してしまったりといった問題を抱えられています。
ご質問の「メモを失くしてしまう」というお悩みは、障害特性としてはADHDによる不注意などが考えられるでしょう。メモに限らず、無意識にそのへんに置いてしまって忘れてしまい、ものを失くしやすいという傾向が出やすくなります。
ただ障害特性に関わらず、メモの管理というのは様々な仕事で課題になるポイントだと思います。

ものを失くしてしまうことへの基本的な対策は「置き場所を決めて使い終わったら戻す」ですが、それが出来たら苦労はないですよね。ただ、それを意識することで改善できてしまう人もいるので、メモの置き(入れ)場所を決めるのが未経験なら一度お試しください。意外と、あっさり解決してしまうかもしれません。会社員であれば、「とにかくカバンに突っ込む」が一番確実でしょう。

効率的なメモの管理方法は、仕事内容によっても変わってきます。大きく分けると、短期的・長期的の2種類です。

・短期的なメモ
電話の取り次ぎ、当日の作業の覚え書きなど基本的にその日の内に使って役割が終わる内容のメモです。
この種類のメモが多いお仕事であれば、持ち歩きに便利なメモ用具を見つけるのが効果的です。

・長期的なメモ
新しい作業の手順、取引先とのやり取りなど、日をまたいで比較的長期で使用するメモです。
この種類のメモが多いお仕事であれば、使いやすさだけでなくメモ内容の管理方法が大事になってくるでしょう。

ご自分のお仕事内容に合わせてどちらの工夫が必要か、あるいはどちらも必要なのかを考えてみましょう。
以下にいくつか、メモの持ち歩き・管理についての工夫をご紹介します。

*カードメモ「ジョッター」を活用する
ジョッターとは、情報カードをメモ用紙として使う為の文具です。スマホやクラウドの普及によってビジネスパーソンにも使われるようになっています。
情報カードは「1件1枚」を意識しやすく、内容別に分類もしやすいため愛用する人も多いツールです。伝言のようなその場限りのメモにも使えますし、残したい情報はそのまま名刺ボックスにしまって必要な時に必要な情報だけ取り出せます。

メモの管理が苦手な人は、スキャンやスマホ撮影してGoogleDriveやiCloudなどのクラウドサービスにアップロードしてしまいましょう。こうしておけば、カードやスマホを失くしてしまっても、情報は失われません。
注意点として、カード1枚1枚はメモよりも失くしやすいこと。この使い方をする場合は、スキャンや撮影の習慣付けが必須です。

*A4用紙をメモ用紙として、IDケースに収める
A4用紙を8つ折りにすると、ちょうどIDケース程度のサイズになります。これをIDケースに収めておき、1日分のメモ帳とします。先述のジョッター代わりに裏表で16枚分の情報カードと同じように使えます。

長期的な管理が必要なメモなら、スマホで表裏を撮影するかスキャンすれば用紙は破棄しても失くしても大丈夫。IDケースを使っていて、1日動き回るような仕事には有効な方法です。

メモの台紙として使えてペン収納もできるIDケースや、ジョッター付きIDケースはネットでも販売されています、興味があれば、「ジョッター IDケース」などで検索してみてください。

*システム手帳をメインにしてリフィルの予備をあちこちに準備する
アナログ派の人におすすめな方法です。
基本的にメモは「リフィル」にとり、その場限りのメモならシュレッダーへ。あとで必要なものなら手帳に綴じこみます。
手間はシステム手帳へのファイリングだけです、別のメモに書きうつすより簡単です。
注意したいのは、本体のシステム手帳そのものを失くさないようにすること。
大きめのもの買う、鍵用チェーンでかばんとつなげてしまう、職場に置いておくなど、対策しておくとよいです。
ファイリングする手間も面倒になってリフィルがたまってしまうようなら、別の方法を考えてみましょう。

*リストバンド型メモツール
立ち仕事が多く、その場その場でのメモが必要な職業の人におすすめ。
「WEMO(ウェモ)バンドタイプ」という商品は、看護師や介護士など立ち歩きが多く、かつ情報のやりとりの多い職業の人に愛用されるツールです。リストバンドのように腕に巻いて、とっさのときにすぐメモが取れるというもの。必要なくなった文字は消すことが出来て、何度も再利用できます。
とっさのメモ書きとして「自分の腕に書く」という手段は昔からありますが、これを進化させたような道具と言えます。メモ内容をとっておきたい場合は、コピーやスキャンをしておくと良いでしょう。

*持ち歩けるポーチ・ケースに仕事道具をまとめる
肩下げ型やウエスト型のポーチは、立ち仕事の多い職業の人に愛用されています。メモだけでなく仕事に必要な道具を全てまとめておくことで、メモ帳だけを失くしたり忘れたりすることを防ぐことができます。デスクワークの人でも、道具類をひとつにまとめておけるツールバッグやケースを使うとそのままロッカーにしまうこともできて便利です。
お仕事内容や服装の規定などによって使える人は限られますが、ハマればとても有効な方法でしょう。
メモを使い切ったときに補充し忘れるという懸念もありますが、上にご紹介した情報カードやA4メモも併用してみてください。

*デジタル機器に頼る
スマホは文字だけでなく、動画・写真・音声などアプリによって様々な情報を手軽に記録できます。
環境によっては、ボイスレコーダー、デジカメ、電子メモのような単機能のツールも有効です。すぐに必要な機能が使えるので、とっさの場面に強いのがスマホに勝る点です。
デジタルツールの利点は、情報をファイルとして管理できること。GoogleDriveやiCloudなどのクラウドサービスを併用すれば、道具自体を失くしてしまってもデータは残ります。
デジタル機器は便利ですが、情報管理の問題で使用が許されない場合が多いのが難点です。使用の場合は、必ず職場の許可を得てください。

今回はメモを失くしてしまう、というお悩みに効果がありそうな工夫をいくつかご紹介させていただきました。
どんな工夫でも、「そもそもそれを実行することを忘れてしまう」「めんどくさいので回避してしまう」という壁を越えるのは難しいことです。
一番良いのは、どんな方法でもいいので自分で解決策をみつけて一度成功してみること。効果を実感できるやり方を発見すると、繰り返す意欲もわいてきやすくなります。
またASDやADHD傾向をもつ脳は、「思い入れ」に強く反応します。効果を実感した方法、自分が重ねた努力や工夫、選び抜いた道具など思い入れが強いほどに、忘れず面倒がらずに使い続けることができる力をもっています。例えば道具選びも値段ばかりでなく、好みとこだわりをもって時間をかけて選んでみてください。

色々試してみて、アレンジして、ご自分にとってベストな方法をつかんでいきましょう。

 

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