教えて!對馬さん

仕事がなかなか覚えられません

2024.12.25

お困りごと

「これって前にも言ったよね」

何かのやり取りがあったことは覚えているけれど、何を聞いたか覚えていられないから、この言葉を言われるたびに申し訳ないなと思ってしまう。

いつもメモは持っているけれど、説明のペースに追いつけなかったり、何を書けばいいのか分からなかったり。

そんなことを繰り返すたびに聞くこともためらってしまう。何とか自分でやってみようとして、やっぱり失敗してしまったり…これから何度繰り返せばいいのだろう。

 

仕事がなかなか覚えられません

解決のヒント

発達障害があると、他人のペースに合わせてものを教わるのが苦手になる場合があります。

例えばASDがあると、ペースを合わせるということを難しくさせます。OJTで仕事を教わるときには、相手の説明するペースに合わせて覚えることが要求されます。相手が自分のペースよりもゆっくりならまだしも、早い場合にはついていけなくなってしまうわけです。また、一つのことに集中するのが得意な反面、マルチタスクが苦手な人が多い。目からの情報と耳からの情報が同時に入ってくる上に、メモも取らなければならない状況はまさしくアウェーと言えます。

ADHDの傾向がある場合には説明に集中できず意識があちこちにいってしまい、気付いたら話を聞き逃していたということになりがちです。ASDの場合と違って相手がゆっくり説明してくれていても、それにイライラとしてしまって肝心の内容が頭に残ってない、なんてことも。

とはいえマニュアルの用意されている仕事ばかりではなく、人に教わる場面はどうしたって発生します。対策としては、まず録音や録画ができる機器に頼る、という方法が考えられます。デジカメやボイスレコーダーが使えれば、「見る」「聞く」のどちらかを機械に任せることが出来ます。スマホを使わせてもらえるなら、動画で撮影すれば万能ですね。注意点としては、そうした機器を使う場合には必ず事前に許可を得る必要があります。情報管理上それらの機器使用が制限されている職場もありますし、そうでなくても勝手な録音や録画は周りの人の反感を買ってしまいかねません。また録音・録画できても、そこで安心して放置せずに必ず自分でマニュアルに落とし込むこと。そうすることで、仕事への理解が進みます。いざ業務に取り掛かろう、というときに、録音や動画を再生しながら、というわけにもいきません。録音や録画が難しい場合は、やっぱりメモを使って覚えていく必要があります。

【メモを取る際に持っておくと良い心構え4つ】
① 一度ですべてを書き残すのは無理。
→あとで書き加えても、聞き直しても良いのです。聞き逃した部分は一旦「〇〇」「××」みたいにしておいて、あとで質問しましょう。

② 事前にわかる情報があれば、予習しておく。
→既存のマニュアルがあるなら、それを用意してもOKです。予習した情報を事前に書いておけば、教わるときに書くメモ量を減らすことができます。

③ はじめは質問せず、聞くことに専念する。不明点をメモする。
→記憶力には自信があるけど、同時にメモを取るのが苦手なタイプの人向け。あとで質問したい部分だけメモにチェックしておいて、それ以外は聞いて覚えることに集中する。聞き終わったら、記憶が鮮明なうちに書き出してまとめておきましょう。

④ 教えてもらった直後に、覚えている限りのことをメモに書き加える。
→ポイントだけのメモで初回は上手くいっても、時間が経つと細部を忘れてしまってメモを見返してもわからなくなる場合があります。話を聞いたあともポイントだけのメモで放っておかずに、覚えている限りのことを追加していきましょう。実際に仕事を試してみながら、手順や注意点を書いていくのも効果的です。最終的には、自分以外が読んでもわかるマニュアルになるのが理想です。

一つ大切なこととして、その業務を行うときには必ずこのメモを取り出して確認しながら進めてください。理由は自己流にならないようにするため、それとメモをアップデートしていくためです。

仕事をしていくうちに新しい気づきがあったり聞き逃して確認すべき点などが出てくるので、これを書き加えていきます。後から更新されたルールや情報なども、どんどん書き加えていきましょう。

こんな風に追記、見直しを続けることで、自分用のマニュアルが充実していきます。何度も同じことを聞いてしまう、ということも起こりにくくなるでしょう。

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