第2回読書会のまとめ-詩を通して学んだ「大丈夫」という言葉の難しさ-
実施日は9月10日で、参加人数は職員さん含め7名でした。東邦大学から学生さんが2名参加されました。
前回の課題図書は芥川龍之介の『羅生門』でしたが、今回は詩を3つ読みました。
第1回目は事前に本を読んでくるようにしていましたが、今回はその場で黙読と音読をして意見交換を行いました。
その結果、出てくる意見も「これってどういう意味なんだろう」、「この部分って何を言いたいんだろう」というような率直な意見が多かったように感じられます。
参加される際に「詩って難しそう…」と感じた方もいると思います。
今回の目的として、詩を理解するというよりも、「この部分が面白い!」→「では、なぜ面白いと感じたんだろう」という思考につなげていき、さらにそれを言葉にして人に伝えることを大事にした読書会にしたいというお話をしました。
同じものを見ていても、自分と他人が抱く感想はちがいます。
他人を否定せずに自分と違った意見をどう受け取るかは、社会に出ても大切な力のひとつだと思います。
詩を読みながら意見を出し合うなかで、特に印象に残った議論があります。それは、「大丈夫」という言葉についてです。
日常生活でも、「大丈夫?」という問いかけをしたり、逆に人から「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫です」と答えたことが、皆さん一度はあると思います。
職員さんの「支援者として、大丈夫ですよと言葉をかけることがあるが訓練生の方にはどう伝わっているのか」という疑問から、たくさんの意見が生まれました。
支援側である学生の方の意見としては
・自分が実習に行った際、支援者が利用者に対して「大丈夫」という言葉をあまり使わなかった。信頼関係があって活きてくる言葉なので、上手に使わないといけない言葉だと感じた。
・人によって大丈夫という言葉の重さや感じ方はちがう。使うシーンを大切にしたい。
という意見。
訓練生の方からは
・大丈夫と言われても、不安がすぐに消えるわけではない。
・言われるのは好きじゃない。万能な言葉だけれど、表面的だと感じることもある。相手との関係性で感じ方が変わる言葉だと思う。
・わりと好きな言葉。「大丈夫」と問いかけたり、励ましたり、声をかけてくれることがありがたいと感じる。
と、様々な意見が出ました。
支援者・利用者で、「大丈夫」というひとつの言葉にもたくさんの思いを抱いていて、その言葉の重みは人によって全く違ってくるようです。
どんな場面でどんな言葉を使うかは非常に重要で、読書会を通じて言葉の重さというものを改めて感じました。
読書会後には「詩の意味がよくわからなかった。もう少し時間が欲しかった」という感想もいただきましたが、「意味がわからない」というのも大切な意見のひとつです。
わからないと思いながら考え続けることに、重要な意味があるのではないでしょうか。それは読書や、仕事などの実生活においても同じことだと思います。
読書会後に「大丈夫」という言葉を使ったり聞いたりして、きっと「あの時こんなことを話したな」と思い出す場面があるのではないかと思います。
意味がわからなかったことを考え続けたり、ふとした時に思い出したり、そんな小さなお土産を皆さんに持って帰っていただける読書会になっていたらとても嬉しいです。
次回の開催はまだ未定ですが、参加者の皆で作りあげ、小さなお土産を持って帰れるような読書会にしていきたいです。