半世紀以上前の作品ですが、
「考える」事の破壊者として描かれた「感覚的」な物が、
「一見能動的に考えている様に思えるものの、全てが協調と受動で行われている」物――「インターネット」に破壊されている現在と、どこか重なります。
みなさんこんにちは。秋葉原事業所訓練生Sです。
前回に続いておススメの本の紹介になります。
◎『イリヤの空、UFOの夏』秋山瑞人 ≪ライトノベル≫
浅羽直之、中学2年生
夏休み最後の夜、思い出作りに忍び込んだ深夜のプール
一人の不思議な少女との出会い
そして始まる少年少女とUFOの夏…
あらすじからも解る通り、所謂ボーイミーツガールと呼ばれる作品です。
ラブコメとしての完成度がかなり高く、キャラクターも可愛いので、そこら辺の作品が好きな人には声を大にしておすすめできます。
またこの作品は、タイトルにも有る「UFO」が話の筋にかなり深く関わって来る為、SF作品としてもかなり高いレベルでまとまっており、単純なラブコメとは一線を画す非常に面白い作りとなっております。
SF、ラブストーリー、ジュブナイルetc…この作品のジャンルは多岐に渡り、非常に面白く読むことが出来ます。是非ご一読を!
ちなみに自分はこの作品を読んで、所謂ライトノベルと呼ばれるジャンルへの認識を大きく改め、しばらくライトノベルを読み漁っている時期がありました(笑)
◎『華氏451度』レイ・ブラッドベリ ≪小説≫
近未来、本の所持や読むことが禁じられ、全ての情報は、テレビやラジオ等の感覚的な物に限られた社会。
そんな世界において、本の所持を取り締まる『消防士』と呼ばれる男の物語です。
古典SF作品として、「タイトルだけならば聞いた事があるかも?」
って方も多いのでは?と思われる作品です。
この作品は「考える事を要する文化」である「本」が「感覚的な情報文化」である「テレビ・ラジオ」に、破壊される様を描いています。
しかしこの作品から60年を経た現在のはどうでしょうか。
かつては破壊者だったテレビと言う文化が、「一見能動的に考えている様に思えるものの、全てが協調と受動で行われている」文化であるインターネットに、破壊されつつ有る現在も同時に暗示している事です。
「古典SFには人類の未来が詰まっている」とはよく言われる言でありますが、文化の破壊と再生・娯楽、そして考える事とは何か。
そんな事を考えながら読むのもまた一興かも知れませんね。
また1953年発行と60年以上昔の作品ですが、この作品に着想を得た物語は現在でも多数存在し、映画にもなった大ヒット小説『図書館戦争』(有川浩)や映画『マトリックス』の元ネタとして有名な、映画『ゼイリブ』(ジョン・カーペンター監督)等、枚挙に暇がありません。
この様な古典の名作を何作か読んでみると、好きだったあの作品の「違った一面」も見える様になるので、試しに読んでみるのも面白いかも!?
どうでしょうか。
興味の湧いた作品はありましたか?
比較的有名な作品をチョイスしていますので、ご存知だった方も多いかと思います。
いつか本屋で迷っている時に作品名だけでも頭をよぎって頂ければ幸いです。