安定的に就労を継続するための定着支援
就職先が決まる、というのはスタートであり、ゴールではありません。
無事に就労したけれど、いざ仕事を始めてみたら・・・・
「体力がもたなくて、つらい。」
「職場の人と、なんだかうまくいかなくて不安。」
「指示が複数の人から出るので、わからなくてパニックになる。」
「周りの人はきちんと仕事をしているのに、自分だけ何もできていない気がする。」
就労した方からこんな声を良く聞きます。
そこでさらぽれとしては以下の職場定着支援プログラムを実施しています。
職場定着支援プログラム内容
個別の定着支援
就労してから職場で直面する様々な問題は、相談支援を利用することで解消できることもたくさんあります。
さらぽれでは、長く働きつづけていただくために、卒業生に相談支援を行っています。
相談支援には、大きく分けて以下の2つがあります。
①訪問面談
雇用後、本人・企業担当者と相談の上訪問計画をたてます。
直接会って職場での様子を伺います。
職場を訪問して、上司を交えた話し合いをしたり、職場の近くで面談を行ったりします。
困っていることがある場合、雇用先企業様との調整も行います。
②事業所に来所して相談
相談したいことがある場合、電話連絡の上で面談の機会を設けています。
職場の悩みや転職など様々な相談に乗っています。
③メール・電話相談
適宜行います。メールや電話で、悩んでいることや困っていることの相談にのります。
さらぽれcafe(旧夕食会・昼食会)
就労した方を対象に毎月1回開催しています。
就労すると職場と自宅の往復になって、家族以外との交流の機会が少なくなる場合があります。
さらぽれcafeでは、懐かしいメンバーでお互いの仕事や興味のあることを話題に、賑やかに過ごしています。
定着支援事例
(1)Aさん
Aさんは季節の変わり目や環境の変化、また対人関係において気持ちが不安定になることがあり、勤怠に影響が出ることもありました。 業務能力は非常に高い方だったので、さら就労塾でも感情のセルフコントロールを中心に支援を行ってきました。
採用企業様は今まで支援機関を利用したことがないということだったので、まずは入社前にさら就労塾が行っている定着支援などについて説明させていただきました。 その際、併せてAさん自身が作成した「取扱説明書」と、さら就労塾の職員が作成したAさんの「紹介状」も提出しました。
現在、月に1度の頻度で職場に出向き、定着支援を行っています。まずは企業担当者様との二者面談を行い、就業中の様子を伺います。 その後、本人との二者面談を行い、仕事内容に限らず、生活面などの様子もヒアリングします。その内容は本人承諾のもと、企業担当者様にも共有します。
このような支援に対し、企業様からは、
- 事前にAさんの具体的な配慮事項や対応方法について知れたことで、入社後もお互いが無理なくスムーズなやり取りができている
- 聞きづらい生活面のところまで細かくヒアリングしてもらい、フィードバックを頂くことでこちらも安心してフォローに取り組めるというお言葉を頂いております。
(2)Bさん
Bさんは自閉症でしたが、字の読み書きもできますし指示通り作業することもできました。ただ言葉が支離滅裂になってしまうところがあり、それがBさんの障害を実際よりも重く感じさせていました。
採用された職種は資料の整理でルールがしっかりと決まっており、また外来者も少ない現場でした。仕事のルールが曖昧だったり、急な割込みの多い仕事が苦手なBさんにはうってつけの職場です。
企業様にはあらかじめBさんへの指示方法や、大きい音が苦手なことなどをお伝えしました。仕事もよく覚え、初期の定着は順調でした。
ところが数か月後の訪問で、細かい拘りや唐突な言動で困っている点を上司の方からご相談頂きました。お話を伺う内に、根本にはBさんが何を考えているかわからず不安があることがわかりました。
そこで同僚の方を集め、まず自閉症とはどんな障害なのか、それがBさんの場合にはどう表れているのかを改めて説明しました。そして何より言葉は苦手ですが、考え方は普通の人と同じであることをご説明しました。
同時にジョブコーチを導入することによって仕事の癖も抜け、職場にも受容れて頂いて今も元気に働いています。
(3)Cさん
採用面接時より働くにあたっての具体的な配慮事項を企業担当者と共有。
採用後はさらぽれ担当者が職場へ出向いて半年間の定着支援を行いました。
頻度は1か月目は2週間に1回、2か月目から月に1回。
毎回の訪問では、Aさん本人と30分、職場の上司と20分、最後に3者で20分ほど面談をしていました。
初めての環境で働くのですから最初は不安もありますし、なかなか上司や同僚に聞き辛いこともあります。
さらぽれ担当者が聞き取りをして、上司の方に伝えることもありました。
しかし、徐々に自分で3者面談の場や普段の職場の中で相談できるようになり、面談時間もだんだんと短くなっていきました。
(4)Dさん
採用が決まった後、さらぽれ担当者からBさんの「紹介シート」(本人了解済み)を作成して企業に提出しました。
職場では一緒に仕事をすることになる同僚の方に「紹介シート」を事前に見ていただき、具体的な配慮事項や対応方法について知っていただきました。
その上で、さらぽれ担当者が職場に出向いての定着支援を半年間行いました。
環境の変化から体調が悪くなり、訪問だけでなく電話や来所で相談にのることもありましたが、職場の上司・同僚の方々の支えもありBさんは今も働いています。